拙著「広告ビジネス2030年」には、AIが広告ビジネスのコアであるクリエイティブを直撃すると書きました。

 エージェンシーが開発せずとも、アイディアを創出するAIは溢れるように出てきてクライアントも使うことになります。当然これをコンサルが支援することになるでしょう。

 下手をすると従来どおりエージェンシーのクリエーターがつくったクリエイティブ対コンサルが支援してクライアントがAIでつくったクリエイティブが競合することもあるでしょう。当初は人間が勝利するでしょうが、すぐに勝てなくなります。時間の問題です。

 そこでエージェンシーも「クリエイティブ案の実績をAIに学習させて」と行きたいのですが、そもそも捨て案などは学習させようにも残っていないし、あったとしても古いアイディアは学習させることがマイナスに働くことになります。古いセンスのAIにしてしまうだけです。

 つまりエージェンシーなのにクリエイティブAIづくりには何のアドバンテージもないのです。

 では、エージェンシーはどこにAI開発をすべきなのか。

 クリエイティブのAI化は一見クライアントにとって自社内にクリエイティブファームを抱えた感じになります。(ちなみにいわゆるクリエイティブファームは絶滅するかもしれません。)

 そこからいいアイディアの創出できたとして、広告効果によってクリエイティブは大きな変数ではあるものの、どんな掲載面に誰にどんなタイミングで接触させてという変数などと掛け算で結果が出るものです。

 結局それを実行しているのはエージェンシーです。

 広告を最適化するにはエグゼキューションが出来ないと意味がないのですから、エージェンシーのAI開発のスタート地点はこの辺にあります。

 従来広告配信の結果データは極めて粗末に扱われてきました。せっかくデジタル配信なのにやりっぱなしです。拡張配信という技法が失敗したのも、一次的な結果だけで評価して突き詰めなかったからです。ベムは拡張配信のロジックこそAIに任せるべきで、何千万人に何十億回も配信したというような膨大なデータを喰わせてこそAIは育つでしょう。

次回は競合するコンサルによって、業界の重心が変わるということを書きます。重力に引き寄せられるように歪んでいく広告業界はどこに行くのか・・・。